本とCDの日々(仮)
2006/10/29

TITLE:「 P.K.O. LIVE IN JAPAN 

P.K.O LIVE IN JAPAN P.K.O. LIVE IN JAPAN
P.K.O. (2006/10/25)
バウンディ
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音は慶一プロデュースの「マラッカ」「1980X」くらいしかちゃんと聴いたことないし,頭脳警察とはもっと縁がないので,あくまで印象の問題でしかないのだが,PANTAって,資質が中島みゆきに似てると思ってるのは私だけだろうか。だけだろうな。誰にも同意されそうにない。中島みゆきよりは分かり易いと思うけど。

このアルバムでは,ムーンライダーズより疾走感のあるバックの音で聴ける鈴木慶一の声が何より新鮮。93,94年の音源だから当然のことだが,慶一氏の声が若い。あまり思い入れのない当時の「A.O.R.」からの選曲もなかなか悪くない。「A.O.R.」ってちょっとやり過ぎで苦手なんです。それから,慶一氏の歌うPANTAの曲が,何かライダーズの未発表曲を聴いてるみたいでちょっと嬉しい。PANTAには失礼だが。

ということで,なかなか面白いアルバムなのだが,最近は家でも車の中でもずっと「MOON OVER the ROSEBUD」を聴いてるからな。何度も言うがこれは傑作です。意識したことなかったけど,一緒に声を上げて歌えるライダーズのアルバムを,ずっと今まで待ってたんだな〜と今更ながら実感。

2006/10/26

TITLE:「 MOON OVER the ROSEBUD 

ムーン・オーヴァー・ザ・ローズバッド ムーン・オーヴァー・ザ・ローズバッド
ムーンライダーズ (2006/10/25)
バウンディ
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今だから正直に白状すると,「Six Musicians On Their Way To The Last Exit」以降のアルバムには何だか煮え切らないような不満が個人的にはあったのだ。6人が互いに向かい合って歌ってるような自己満足感。野外フェスにやたら参戦したりして,バンドとしてのポテンシャルは老いてますます盛り上がってるのは分かっていたが,何と言うか肝心の音に21世紀のマスに向かってるリアリティと言うか現場感が今ひとつ薄いような気がしてならなかったのだ。あくまで個人的な感想だが。

しかししかし,ムーンライダーズ30周年を飾る本作は,一聴して泣きそうになるほどの,掛け値なしの大傑作。「Dire morons TRIBUNE」や「P.W Babies Paperback」のどこか排他的な混沌は,ここに至るためのひとつの経過と考えれば,ライダーズのこれまでの30年の歴史がすべていとおしくなるような,そんな生々しい歌詞とメロディ。カオスとコスモスの奇跡的な共存。個人的に,クロノジカルな変遷こそがこのバンドの魅力の核であり,任意のアルバム1枚を聴いただけではその魅力に気付かない者でも,ライダーズのアルバムを年代順に全て聴いてその虜にならない者はいない,と思っている。しかし,本作はもしかするとライダーズ史上最強のアルバムかも。これ聴いて鳥肌立たない人は,幸か不幸か(もちろん不幸の方)一生ライダーズとは縁のない運命の人ということだろう。

様々な紆余曲折を経て到達した,石の上にも30年。まさに継続は力なりというコトバを体現している大人たちということで,文科省から表彰されても良いくらいの正しき姿勢のロックバンド。そのほとんどをリアルタイムで聴き続けてこれた幸福を誰にともなく感謝したくなるような,こんな傑作アルバムが聴けてしまった日には,まだまだこれからリリースが続くライダーズ関連アルバムも本も,全て買わねばならないだろうよ。

ライダーズ好きには,一方に岡田徹のメロディの美しさがあってこそ,白井良明のヤンチャさが生きるということが,今更のようにしみじみ痛感できるアルバム。また,30年バンドとして続けてやってこそ出せる音もあるということが,ミカバンドの新譜と聴き比べると一層分かる気もします。ミカバンドが悪いということではなくて。濃縮果汁120%,繰り返すが,足の踏み場もないような混沌と澄み切った山の空気のような秩序が,違和感なく共存している,これぞ年の功,そんなアルバム。「ゆうがたフレンド」のdubmixだけちょっと余計かも。

2006/10/15

TITLE:「 手紙 

手紙 手紙
東野 圭吾 (2006/10)
文藝春秋
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毎日,日本のどこかで陰惨な殺人事件が起こっており,それが介護疲れによる老夫婦絡みの事件だったりすると同情の余地もあるが,人間とは思えない所業の事件は,それこそ2,3日前の事件を忘れてしまうくらいに,TVのニュースで連日休みなく報道されている。そして上着やタオルで顔を隠して連行される犯人の姿を眺める度に,何だ顔を隠すくらいなら事件なんか起こすなバカ,と思ったりする。しかし,逆に犯人が顔を衆目の前にさらして堂々としたふてぶてしい態度で歩いていると,こいつは反省してないのか死刑にしてしまえと日頃の自分の行いを棚に上げて怒りを覚えたりもするから,結局身勝手な動機で殺人を犯した人間は,どういう姿でいても同情されることはない。

本書は,強盗殺人の罪で服役中の兄を持つ主人公が,そのために様々な辛苦をなめる物語,と言ってしまえばそれまでだが,しかしそこから見事に立ち直り幸福になるという,私のような凡庸な読者が期待するような展開にはならない。彼が経験する身内に犯罪者がいるが故の数々の差別は,就職にしても結婚にしても,言わばベタなストーリーから逸脱するエピソードではない(そこは著者の関西人気質というか,有り体に言えばサービス精神とでも言うべきものか)。結局,殺人を犯した者にもその家族にもそれを正面から引き受けそれを乗り越えて得られる幸福などはない,という当然と言えば当然の,冷酷と言えばそうとも受け取れる結論(であるように私は読んだ。おそらく読後感は人によって様々だと思うが)。

これは,なぜ人は人を殺してはならないのか?という問いに対する著者からの回答であるとも読める。ひとりの被害者が生まれるということは,遺族というそれ以上の被害者が同時に生まれるということでもある。同じく加害者になるということは彼の親族もみな加害者の一部になるということなのだ。被害者が生き続ける以上,加害者に贖罪の機会など永遠にない。これは法による裁きの問題ではないのだ。

昔,著者の「眠りの森」を読んで涙ぐんだりした頃は,叙情的などちらかといえば軽くて人の良いミステリーを書く人という印象だったのだが,「白夜行」あたりから完全にイメージが変わってしまったなぁ。読んでいると,時々,足場のない暗闇にぽーんと突き飛ばされる感じ。本書もカバー裏にあるような「感動を呼」ぶ類いの物語というよりも,ひとつの殺人に付随する様々なできごとの重さ,取り返しのつかなさを描いた物語。そして解説で井上夢人氏が言っているように,差別は正義ではないと臆面もなく口にできるわれわれに対する,真摯な問いかけの書でもある。自分が当事者であれば,同じような差別をする側になるかもしれないという想像力が,何より必要だろうし,そう改めて考えさせてくれることが,本書の価値であると思う。

2006/10/12

TITLE:「 Multiplicity  


Multiplicity Standard / トリスター

知り合いにPC一式無料でもらったので(IBMのNetVista),いよいよ本格的にPC2台の環境を構築しようと思い,1台のキーボード&マウスで2台のPCを動かせる切替器をネットで探したのだが,どうも今ひとつピンとくるものがない。しかもどれも高い。買って接続してみないときちんと作動するかどうか分からない。そしてこれがいちばん厄介なのだが,どうもどの製品もキーボード&マウスだけじゃなくて,モニターも1台という前提みたいなのだ。どうしようかと思ってたときに見つけたのがこの紹介記事。早速メーカーのサイトへ行くと,Standardダウンロード版だと3654円。安い!とは言わないが買って上手く作動しなかった場合に,ギリギリ我慢できる金額ということで早速購入。

で,早速インストールしたわけだが,これがもう驚くほど快適。とにかく2台並べたモニター上をひとつのカーソルが,ひとつのマウスの操作で動く。左のモニターの右端に消えたカーソルが,右のモニターの左端からひょっこり現れるんですよ。手品みたい。眼からうろこが何枚も落ちます。今までPCソフトを導入して,こんなに感動したことないです。この環境でさて何ができるかはこれから考えるとして,2台のPCと2台のモニターを利用している人には,絶対オススメ。PCがLAN接続されてれば,設定は簡単すぎるくらい簡単。PC3台以上の場合にはPRO版もあります。

2006/10/05

TITLE:「 NEW DIRECTIONS OF MOONRIDERS 百万人のムーンライダーズ 


NEW DIRECTIONS OF MOONRIDERS 百万人のムーンライダーズ / ムーンライダーズ

HMVのレビューより引用
「進化し続ける永遠のロック少年、ムーンライダーズ結成30周年の総決算はオリジナル全18枚、ミニアルバム3枚からメンバーが監修・選曲、さらに鈴木慶一氏自らマスタリングを手掛けたベスト盤!! レコード会社の枠を超え、ポップでキャッチーな楽曲から現在では入手困難なシングル曲まで。ビギナーにやさしく、マニアの方も満足な作品です。」 ・・・ふーん。

結局シングル音源はすべて持っているし,20周年ベストの「アンソロジー 1976-1996」と半分近くかぶっているし,リマスタリングされてることくらいしか,とりあえず購入する理由がなかったのだが,やっぱり買ってしまった。恐ろしいのは,これから年末にかけて,今や恒例になった10年に一度のムーンライダーズ怒涛のリリースラッシュがやって来ることである。20周年のときは何とかしのいだが,今回は何とはちみつぱいの再結成ライブ「9th June 1988」まで出てしまうらしい。当時はCD買う予算なかったから,レンタルしてカセットに録ったんだよなぁ。1988年か。若かりし頃・・・。再発ものをすべて買うのは無理だろうと思うが,問題はリマスタリングされてるのか,ということである。もしもそうなら話は違ってくるよなぁ。昨年のYMOソロの紙ジャケ再発の嵐を思い出す。あまりの多さに自分でも何を購入済みなのか未購入なのかとっさに分からず,結局「B-2 UNIT」を2枚買ってしまったり・・・。

悩んでいても仕方ないので,「ムーンライダーズどこまで買うか問題」はまた後で考えることにして,同時に送られてきた曽我部恵一の「東京コンサート」を聴く。安らぐ。何と言うか,ものすごく身の丈に合った音楽をやってる。充実の1枚。