本とCDの日々(仮)
2007/02/23

TITLE:「 水滸伝 五 玄武の章 

水滸伝 五 水滸伝 五
北方 謙三 (2007/02)
集英社
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月刊北方謙三状態で,毎月「水滸伝」を読み始めてはや五ヶ月。感想めいたことを書くなら物語が完結してから,というのが筋なのだろうが,物語のあまりの熱さに居ても立ってもいられなくなったので書く。既に登場人物は百名に近くなり,ときどき巻頭の登場人物一覧を確認したりしながら読み進めるのだが,とにかく登場人物たちがみな熱い。そして馬鹿がつくくらい純粋だ。悪役たちもその悪辣ぶりが徹底していていっそ潔いと言うか,いやとにかく熱い。

これは一体何なのだ。この面白さはどういうことだ。実は自分はこういうタイプの小説があまり得意ではないはずではなかったのかと自問自答しながら読んでいたりもするのだが,そんな理屈は関係なく毎月購入と同時に一気読み。そして翌月の次巻を首を長くして待っている。全十九巻ということだからまだ1年以上楽しめるということだ。何という幸福だ。単行本は既に完結しているのは承知しているが、いやこれは毎月次巻が出るまで頭の中で物語を何度も反芻しながら待つのが、正しい読み方だと勝手に考えている。

suiko@shueisha.net に空メールを送ると、毎月文庫が出る頃に集英社経由で北方謙三のメッセージが届く。このメッセージも初めのうちは何て気障な文章だと読みながら赤面していたのだが、「水滸伝」を読み進むうちに全く気にならなくなってくる。むしろ登場人物たちの熱い台詞の背後に著者の存在が感じられて、頼もしくも嬉しい気持ちになるくらいだ。単行本を読了している人からすれば何を今更なのだろうが、そんなことは関係ない。まだ読んでない人は必読。体温よりも熱い涙が流れること必至。内容に全くふれていないが、もしかしてこれから読む人がいるかもしれないのにそんな無粋なことはできません。

2007/02/18

TITLE:「 いしだあゆみ・しんぐるこれくしょん 

いしだあゆみ・しんぐるこれくしょん いしだあゆみ・しんぐるこれくしょん
いしだあゆみ (2004/04/21)
コロムビアミュージックエンタテインメント
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ハリーホソノ クラウン イヤーズ」のブックレットに載ってる細野さんの当時のスケジュールを眺めながら,そういえばいしだあゆみの「アワー・コネクション」って,以前買おうとした時,既に品切れだったんだよなぁと思いつつ,Amazonで検索してみると,当の「アワー・コネクション」のカスタマーレビューに「いしだあゆみ・しんぐるこれくしょん」に全曲収録されているから高い中古を買わずにそちらを買いなさいという親切な情報が!どなたか存じませんがsovereignさん,ありがとうございました。

で,無事にAmazon経由で入手したのだが,ライナーで堂島孝平も書いているが(この人どこにでも顔出すね,さすがポップ伝道師だ),ティンパン的演奏に狂喜する部分と普通の歌謡曲じゃ?と思う部分とが7:3くらいの割合というところ。萩田光雄さんは好きなアレンジャーなので申し訳ないけど,ストリングスからむとやや安っぽくなるような印象。しかしこのアルバムや雪村いずみの「スーパー・ジェネレイション」とかを車の中で聴いてると,ホントに今が何時代なんだか分からなくなります。

同時にAmazonでCarolineの「Murmurs」と,買いそびれていたプレストン・スタージェスの「レディ・イウ゛」「サリヴァンの旅」を購入。どれも安いな。特にスタージェスの映画が500円で買えるんだから長生きはするものです。

2007/02/13

TITLE:「 HARRY HOSONO CROWN YEARS 1974-1977  

ハリーホソノ クラウン イヤーズ オブ 1974-1977 (DVD付) ハリーホソノ クラウン イヤーズ オブ 1975-1976 (DVD付)
細野晴臣 (2007/02/07)
日本クラウン
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細野さんの「トロピカルダンディー」と「泰安洋行」は2000年の紙ジャケが決定版だと思って買ったのにまたリマスタリング。しかも今度は本人によるリマスタリングで伝説の中華街ライブや一部映像も付くとなると、これはマニアは買わないわけにいかないよなぁ。細野さんのBOXというと「HOSONO BOX」や「MONAD BOX」以来だが、考えてみるとはっぴいえんどやYMOでも散々BOXやらベスト盤やら買わされてる(YMOはやり過ぎだと思うけど)。これもマニアの受難とあきらめるしかないのか。でもそう言いながら、これだけ美麗なBOXに充実したブックレットとなると、ニコニコしながら眺めてしまうのよなぁ。

貴重な写真満載のブックレットに、1974〜1977のクラウン・イヤーズの細野さんのスケジュールが載ってて、これが楽しいです。眺めているとここに出ている音源もう一度聴き直したくなること必至。全部手元にあるわけじゃないんだけど。それから楽しいのは、「泰安洋行」のボーナストラックである1976年8月のラジオ「馬場こずえの深夜営業」にゲスト出演した細野さんとDJ(すみません、寡聞にして馬場こずえさんって知りません)とのやりとり。細野さんはまだ30歳くらいのはずだが今と変わらぬとぼけたキャラぶりを発揮してて、馬場さんが細野さんのコメントに「はー」とか「へー」とか、分かったような分かってないような相槌をうつのがいちいち笑えます。

DVD映像では、鈴木茂や林立夫が当時のスターだったことが偲ばれて何だか感慨深い(もちろん今でも大御所ですが)。それから1976年に撮影されたメリーゴーラウンドで遊ぶ細野さんの16ミリフィルム映像に、新曲がついてます。何よりこの映像が、福岡でのライブの主催者が撮影したものらしいのだが、素人の撮影とは思えない流麗なカメラワークで驚きます。もしかしたら素人じゃないのかもしれませんが。一瞬「フェイス/オフ」のオープニングを連想してしまいました(ちょっとウソ)。

2007/02/10

TITLE:「 キネマ旬報 2007年 2/15号 

キネマ旬報 2007年 2/15号 [雑誌] キネマ旬報 2007年 2/15号 [雑誌]
(2007/02/05)
キネマ旬報社
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「キネ旬」はたまに興味ある特集の時しか買わないのだが、毎年この号だけはもう20年近く買い続けていて、もはや自分にとって恒例行事の感がある。映画館で映画を観ることを放棄してから既に10年近く経つので、昨年のベストテンと言われても観ているのは邦画で「嫌われ松子の一生」「博士の愛した数式」の2本だけ。洋画に到っては「クラッシュ」のみというていたらくだ。こうやって新作観なくなることでひとは老け込んでゆくんだよなと頭の隅でちらと考えつつ、まあこのベストテンを今年見る映画(正確にはDVD)選びのひとつの参考にするというのも毎年のことなのだが。

今年は「嫌われ松子の一生」で快演・怪演した中谷さんが主演女優賞で何より。万人が観るべき、特に人生に絶望している人にこそ観てほしい映画だった。知世ちゃんは次点で残念だったけどまたチャンスがあるでしょう。今年は中谷さんにあげなきゃダメだと思う。他に観た数少ない映画の中では、森田芳光復活を思わせる「間宮兄弟」が14位と厳しい。これまで期待を裏切り続けてるから、なかなか選者の評価も甘くない。あと個人的には脱力した「THE 有頂天ホテル」が17位。読者選出では9位と高評価だ。世間と笑いのセンスがずれてるのかと多少不安になるが、笑えないものは笑えない。

圧倒的高評価の「フラガール」のDVD化を楽しみに待つことにしよう。

2007/02/05

TITLE:「 堪忍箱 

堪忍箱 堪忍箱
宮部 みゆき (2001/10)
新潮社
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もう宮部みゆきの未読の時代小説の文庫本がない!もっとほのぼのしたり年甲斐もなく目頭を熱くしたりしたい気分なのに。仕方ないから程よく内容を忘れている既読の文庫を丁寧に読み返している毎日だ。

かまいたち」は今読むと初期の作品のせいか幾分文章や表現が生硬な印象で、申し訳ないが正直改めて読むと今ひとつだった。初読のときにどんな感想を持ったのか記憶にないのだが。「あやし」は比較的最近読んだはずなのだがあまりにも話を覚えていないことにわれながら驚きつつ読了。こんなにも覚えてないってのは病気じゃないのか。読んだ気になってるだけとか。いずれも心の底が寒くなるようなホラー集だが、「梅の雨降る」のおえんちゃんが不憫で泣ける。「幻色江戸ごよみ」はさすがに読んでいると少しずつ記憶が甦ったので多少安心する。良くできた短編映画のような最終話「紙吹雪」は何度読んでも涙が止まらない。主人公が可哀想だからという単純な理由でここまで泣くなんておれもヤキが回ったぜと思いながらも無抵抗に泣き続けるしかないくらい、とにかく気持ちよく泣く。

そして本書。例えば「十六夜髑髏」で、主人公ふきが奉公先の景気がどうも良くないらしいと考える。“ふきのつとめは、船の底の底にある櫂を漕ぐことで、上のほうのことはうかがうべくもないのだが、下の水がこれだけ冷たければ、上の水も温かいはずはなかろうと思われた。”という文章。或いは「砂村新田」で主人公お春の父のケガのせいで一家の生計がだんだん苦しくなる。“しんねりむっつりと、貧という字がお春たちの家に忍び込み、最初はあがりかまちに片足を、次に両足をかけ、そしてあがりこみ、とうとう腰をおろしたのだ。”という文章。時代小説なんて他になかなか読まないから知らないだけかもしれないが、こんな見事な文章を読むと、ホントに感心して得した気分になる。そして、やっぱり上手いなぁ、と代わり映えのしない感想を阿呆のごとくつぶやく。しかしそれがたまらなく幸福なのです。