本とCDの日々(仮)
2007/06/29

TITLE:「 人志松本のすべらない話 其之参 

人志松本のすべらない話 其之参 通常盤 人志松本のすべらない話 其之参 通常盤
松本人志 (2007/06/27)
アール・アンド・シー
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「それにしてもすべらんな〜」と再三確認するように大声で言ってるけど,いくつかの話は確実にすべってると思ってるのはおれだけじゃないよね。それにしても好評だった話をもう一度話すという第6弾を初めて観たのだが,確かにカバー可というアイデアはものすごいと思う。こういうことをいきなり言い出すところに松本人志の天才を垣間見るような気がするんだけど。それでメンバーが盛り上がって大はしゃぎみたいな感じで終わってしまったのが残念だったが,これって突き詰めて考えてみれば,革新的なお笑い番組が出来るような大発見ではないのか。あの場にいる人たちはみんな,一瞬そんな気がしたはずだと思うのだがおれの気のせいか。気のせいかな。

2007/06/24

TITLE:「 万祝8 

万祝 8 (8) 万祝 8 (8)
望月 峯太郎 (2007/06/06)
講談社
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もうずいぶん昔に定期的なマンガ雑誌講読もしくは立ち読みすることを止めてしまった私にとって,これは単行本新刊が出るのを楽しみに待っている数少ないシリーズのうちのひとつ。望月峯太郎印というだけで,クオリティは保証されていると断言してしまおう。「インディ・ジョーンズ」+「パイレーツ・オブ・カリビアン」+,えーと,あと何だろう,非現実的なほど巨大な鮫の出る映画。まあ,要するにそういうノリだ。今回は風穴で舞い上がるヒロインのフナコのシーンが凄い。「ドラゴンヘッド」同様理屈に走りがちなのが美点でもあり弱点でもあるのだが,おそらく佳境に入りつつあるこの物語,着地点によっては大傑作になるかもよ。毎回カバーにこだわるところも偉い。海洋マンガ好き(そんな狭い括り?)は必読。

2007/06/23

TITLE:「 フライング 

フライング (紙ジャケット仕様) フライング (紙ジャケット仕様)
やまがたすみこ (2007/06/20)
マスクラット
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1977年作品。随分前から何度も再発されていて,関心はあったのだが何となくタイミングが合わなくて買いそびれていたのだ。ようやく買って聴きました。やまがたすみこさんと言われても井上鑑氏夫人であることしか知らないし,申し訳ないことに昔々のつくば博住友館でアナログEPを買ったMOMO名義の「空に会おうよ」くらいしか聴いたことなかったのである。ちなみにこれはレアなお宝だと意気込んで購入した「空に会おうよ」は後年,坂本龍一の「WorksI-CM」に収録されてしまいますが。

はじめて聴いた当時のやまがたさんの声は歌唱力の安定した安田成美といった趣で,70年代的な伸びやかさにあふれていて大変気持ちがよい。最近ではなかなか耳にすることのない,何と言うか屈託やストレスの少ない音楽。これは当時と現在とのテクノロジーの差ではなく,明らかに時代背景の違いだろう。年齢性別を考慮した詳細なマーケティングや,他のエンタテインメントとの差別化や或いは統一性などを気にせずに,無邪気に純粋に音楽そのものを楽しむことができた時代。まあ,昔を美化し始めたら年寄りになった証拠なんだろうけどね。

鈴木茂の職人的であろうとするかのようなアレンジも何だか微笑ましい。7月にはムーンライダーズがバッキングを務めたライブ盤も再発されるそうなので,これも聴き逃せないかもしれません。

2007/06/20

TITLE:「 ガンバの冒険 

ガンバの冒険 DVDBOX ガンバの冒険 DVDBOX
斎藤惇夫、 他 (2006/04/28)
ハピネット
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TVで放映されていたのは1975年だそうで何と30年以上昔の話。当時リアルタイムで観ていたのか観ていないのか,悲しいかな自分のことながら記憶が定かでない。しかし妙に惹かれるものをこのアニメにずっと感じ続けていたから,おそらく放映当時に観て,それなりに面白かったという印象が刷り込まれているに違いないとも思う。ものごころついてからは「あしたのジョー」や「エースをねらえ!」等で出崎統氏に心酔することになるので,氏の出世作ともいえる評判のこの作品を,いつかきちんと観てみたいと長年気にしていたわけだが,ようやく全26話,一気に鑑賞したのであった。

ストーリーは一言で言えばネズミ版「七人の侍」。白イタチのノロイによって全滅させられそうになっている島(その白イタチの名前からノロイ島)のネズミである忠太が,遠く町まで助けを求めにやってくるところから物語は始まる。直情径行でお人好し,いかにも野沢雅子が声を当てそうな主人公ガンバが忠太に同情し,ノロイを倒すために島へ向うことになる,そのガンバの意気に感じたネズミたち(忠太を含めて七匹)が幾多の困難を乗り越えて,ノロイ島へ辿り着き,ノロイとの全面決戦ということになるわけだ。

この年齢になって30年以上前のアニメを観るのは辛いかも?と心配しつつ観始めたが,そんな心配は全く不要であった。主人公ガンバはもちろん,親分肌で涙もろいヨイショ,頭脳派のガクシャ,酒飲みの医者シジン,ガンバの幼馴染で食いしんぼうのボーボ,そしてこのアニメを観る子供の誰もが憧れたに違いない,クールでいつもは斜に構えているがいざという時にはいちばん頼りになるイカサマ。こうしてのん気に登場人物紹介を書き連ねているだけで思わず笑みがこぼれてしまうほど,ネズミたちのキャラが魅力的で飽きさせない。特に物語が進むにつれて発揮されるイカサマの男気には完全に魅了されます。

後半ノロイ島に到着してからは,子供にこんなの見せていいのか?と心配になるほどノロイの禍々しい残忍さがクローズアップされて,一方ではサブキャラのネズミたちが血を流し肉を裂かれ死んでいく。今なら完全にR指定ですよ。しかしノロイのサディスティックな攻撃の仕方,或いはそれに対抗するネズミの集団の統率の仕方や管理のあり方など,子供に見せたら難しいがそれなりに学ぶところが多いのではないかとも思う。やはりよく言われるように良質な子供向け作品は,必ず大人も楽しめるものなのだな。傑作です。これから何か困難なことがあったら,「シッポを立てろ〜」とか心の中で言ってしまいそう。もういい年齢なんだけど。「未来少年コナン」と並んで,長いが死ぬまでに何度かはぜひ観直したい作品。

2007/06/15

TITLE:「 ROCKS OFF Vol.01 

THE DIG JAPAN Edition ROCKS OFF Vol.01 THE DIG JAPAN Edition ROCKS OFF Vol.01
(2007/05/25)
シンコーミュージック・エンタテイメント
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知らない間にこんな本が出てたりするから,ネットでばかり買い物しないで本屋にまめに足を運んでチェックしないとダメよね。内容はこんな感じです。

◆特集「サディスティック・ミカ・バンド」→70年代の写真が満載で嬉しいやら楽しいやら。ユキヒロのお坊ちゃま然としたたたずまいも面白いが,何といっても加藤和彦のカッコ良さが圧倒的。
◆特集「渋谷系レトロスペクティヴ」→小西康陽,年取ったな。
◆特集「チューリップ」→1975年の財津和夫と大滝詠一との対談の再録あり。
◆特集「パンタ」→ロングインタビュー面白いぞ。

他にも鈴木慶一が選ぶ「私の100枚」(個人的には完全にこれに惹かれて買いましたが)や石田長生,柴山俊之(還暦!)のインタビューなど,話題は新作についてでも,何というか,人選は完全に「今」を見ていません。そこが素晴らしい。隅から隅まで,丸々楽しめます。さすが「THE DIG」のJAPAN editionと称するだけのことはある。

2007/06/11

TITLE:「 小津安二郎先生の思い出 

小津安二郎先生の思い出 小津安二郎先生の思い出
笠 智衆 (2007/05)
朝日新聞社出版局
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原本である「大船日記」が出たのが1991年なので文庫化まで随分待たされたことになるが,書店で見かけて一も二もなく購入。映画やドラマでおなじみの笠智衆(敬意を込めて敬称略。以下同)そのままの口調の語り下ろしなので,するすると一息に読了。失礼ながらいろんな役をこなす芸達者というより,いつも同じような演技しか出来ない(或いはしない)不器用で頑ななところが俳優としての笠智衆の魅力だと思うのだが,まさにその期待を裏切らないどこかぶっきらぼうで,それでいてしみじみとした優しさに溢れた語り口の,素晴らしい一冊。

今更言うまでもなく小津作品イコール笠智衆というイメージが世間的には強いと思うが,これまで笠智衆が小津を或いは小津が笠智衆について語った文献を見たことがない。当然本書ではその辺りにいちばん興味を持って読んだわけだが,笠智衆は小津を終始「先生」と呼び,演技について何度もダメを出された等の撮影中の思い出の他,ともに旅行をした折のエピソードなど語られるが,いずれにしても演出家と俳優以上の深い親交はあまりなかったようである。つまりは小津先生と友達づきあいなどとんでもないというような,それも笠智衆の小津に寄せる尊敬の念故のことかもしれない。佐田啓二が小津に息子のように可愛がられていたとか,原節子は美しすぎて近寄りがたかった等,よく耳にする話でも笠智衆の語り口で聞くという行為が小津ファンには楽しいのだ。

何と測ったようなタイミングで,NHKで昨日「今朝の秋」の再放送があり,久しぶりに観る。何度観ても美しいドラマであり,山田太一作品の最高峰のひとつであろうと思う。残念ながら笠智衆も杉村春子もこの世にないが,小津映画の常連ともいうべき彼らの競演を,小津にゆかりの深い蓼科を舞台に実現させた山田太一を改めてリスペクト。笠の友人役で加藤嘉まで出ている。21世紀に彼らの名演を,家にいながらじっくりと堪能できる幸福は何物にもかえがたいと,しみじみ思う。本書の巻末には膨大な笠智衆の出演作リストが。黒澤作品では「夢」以外に目にした記憶がないが,「悪い奴ほどよく眠る」「赤ひげ」に出てたんだなぁ。全く覚えてない。今度確かめてみよう。

2007/06/09

TITLE:「 ドリームバスター4 

ドリームバスター 4 (4) ドリームバスター 4 (4)
宮部 みゆき (2007/05)
徳間書店
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前巻で風呂敷を広げるだけ広げた感のあるエピソード「時間鉱山」の完結編。と言っても全編で語られるのは主人公シェンと,彼女が死んだことで時間鉱山にとどまることを選んだドリームバスターであるマッキーと,地球で死にそうな状況にあるが故に時間鉱山をさまようはめになった3人の地球人,彼らの道行がほとんどである。時間鉱山に起こる現象はすべて迷い込んだ者の意識が具現化されたものだから,彼らが抱える精神の闇をわれわれ読者もともにあてもなくさまようことになるわけだ。悪いけど個人的に宮部みゆきに期待している文学世界って,こういうものではない気がするなと途中何度も考えながら読み終えたのだった。もちろん語り巧者の宮部作品が,読みにくいとか面白くないとか,そういうことはないのだが,はっきり言えばやや冗長。意地悪な言い方をすれば,おそらく次かあるいはそれ以降のエピソードで語られるのであろうシェンの母親が実在していることをほのめかしただけではないのか。長いこと付き合わされたこのエピソードは,そのための壮大なプロローグかも。もちろんここまで来たら最後までつきあうので,もっともっと心をわしづかみにされるような,更なる宮部みゆき的ドラマを期待してます。

2007/06/04

TITLE:「 葉桜の季節に君を想うということ 

葉桜の季節に君を想うということ 葉桜の季節に君を想うということ
歌野 晶午 (2007/05)
文藝春秋
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2003年の「このミス」で1位になった時に何度か書店で装幀の美しい単行本を手に取った記憶があるのだが,購入には至らなかった。「長い家の殺人」「白い家の殺人」等の著者のデビュー直後の作品を読んだことがあり,当時掃いて捨てるほど存在した島田荘司フォロワーの一人という印象が強かったせいもあるかもしれない。「Rommy―越境者の夢」も読んだはずだがほとんど記憶にない。今回の文庫化を機に改めて興味を持ち,読んでみようと早速購入。読み始めてすぐ,そう言えばこの人の文章って,どこか乱暴なニュアンスがあるのよなーと昔思ったことがあるのを改めて思い出した。で,内容はどうかというと,これが以外に読み易くて面白くて,ラストまで一気読み。本格ミステリの醍醐味とも言うべき,それまで関連性を見出せなかった全てのピースが終盤ピタッと一つの絵にはまり,設定が全て見渡せたときの快感を味わうことはできる。もちろんミステリなのであらすじを紹介するわけにはいかないが,犯人当てを楽しんだり息をもつかせぬストーリー展開に夢中になったりする類いのものではなくて,読者を完全にだますための精緻な設定の妙に感心するタイプの小説。と言い切ってしまうと面白くなさそうだが。

読み進めている間,所々で何となく登場人物の口調に違和感のようなものは感じたのだが,そういうことでしたか。上手くだまされました。配偶者の呼び方の変化は確かにその通りで,そこをトリックに使うとはねと感心したが,高校の後輩の設定は若干フェアじゃないような気もする。とりあえず読了後には,巧妙に張り巡らされた伏線を確認するために,もう一度最初から目を通したくなる。そしてできれば「最後にだまされる」ということを知らずに読めれば,さらに楽しかったであろうとも思う。
2007/06/01

TITLE:「 村上かるた うさぎおいしーフランス人 

村上かるたうさぎおいしーフランス人 村上かるた うさぎおいしーフランス人
村上 春樹 (2007/03)
文藝春秋
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どうなんだろうなーこれ。村上さんの新刊ということで後先考えず買ったけど。村上さんのエッセイやサイトではすっかりおなじみの「地獄でホットケーキ」の類いの,脱力系おやじギャグ的な,要するにダジャレ集です。帯に「村上さん,こんなことをしてていいんですか?」とあるが,確かに天下のノーベル賞取り損ねた作家が,こんな文章を発表して大丈夫なんですかととりあえず初っ端のアリの会話を読んですこうし思ってしまいました。表題通りかるた風に「あ」から「わ」までありますが,個人的に好きなのは「に」と「よ」のかるたかな。ニラレバなんて自分では絶対食べないけど,食べてる人見かけたら言ってしまいそう。

安西水丸氏のイラストが贅沢なので,時々え〜っと思うような文章もないことはないですが,損をした気にはならないです。と思います。でも例えば居酒屋でつまらない親父ギャグに延々付き合わされた結果,同レベルのダジャレをつい口走ってしまうことがあるように,一冊読み終わると,ずっかり感化されて同じようなダジャレが何かないかと考えたりしてしまう。それって,その世界にしばらく浸ってしまういつもの村上作品の読後感と似ているかも。似てないよと言われればあえて反論はしませんが。