本とCDの日々(仮)
2008/01/17

TITLE:「 鈴木先生4 

鈴木先生 4 (4) (アクションコミックス)鈴木先生 4 (4) (アクションコミックス)
(2008/01/12)
武富 健治

商品詳細を見る

もはや心あるマンガ読み者にとっては必読の書となっていると言っても過言ではない「鈴木先生」,待望の続刊。帯には誇らしげに“文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞”の文字と,何だかヤラセっぽい麻生久美子の推薦の言葉が。まあヤラセと断じる証拠は何もないんだけど,麻生さん好きなのでもう少し気の利いたコメントで登場して欲しかったです。

それはともかく,前巻から引っ張っている小川蘇美ちゃんの好きな人は誰か?という問題,何となく鈴木先生を暗示するような形でぼかされてしまうが,それより何より,自分が自分の好きな人間であろうとするとそれは周囲からも好ましく見られ新たな別の問題を抱え込むことになるという自己分析。これが中学生の考えることか。と思ってしまうのは現実の中学生を甘く見すぎなのだろうか。そして周囲から認められている鈴木先生の苦悩も承知した上で,自分も“いい子の中学生”を演じることから逃げないから先生も楽な道を選ばないで,と釘を刺すのだ。中学生だから考えることがピュア,と考えてしまうのは甘っちょろいと一方では思いつつも,この蘇美ちゃんの悲痛な言葉に全く動揺しない大人がいるだろうか。

後半は「教育的指導2」と題して,性交渉を持った生徒とその保護者を巻き込んでの鈴木先生の驚異的な性指導が行われる。こういうことを考えている現場の教育者はおそらくたくさんいるだろうと予想するのだが,ここまで的確な言葉でつまり教師自身の本音として,生徒や保護者に語れる人って現実にいるのかしら。そしてそれを偏見やからかいの気持ちなしに正面から聞ける生徒や保護者って存在するのか。そのあたりのリアリティの有無が残念ながら実感できないので,ある種のファンタジーとして読んでる自分がどうかとも思ったのだが。

いずれにしろ,“考える”大人と“考える”子供が対峙する物語として,近年これほど読み応えのあるマンガも珍しいことは間違いない。そしてそこで語られる内容に同意することが出来るかどうかに関係なく,人間が真剣に議論する姿が十二分にエンタテインメントになり得るということに新鮮な驚きを抱く。

2008/01/12

TITLE:「 鈴木慶一CM WORKS ON ASSOCIATES YEARS 

鈴木慶一CM WORKS ON・アソシエイツ・イヤーズ(1977-1989)鈴木慶一CM WORKS ON・アソシエイツ・イヤーズ(1977-1989)
(2007/12/22)
鈴木慶一

商品詳細を見る

まるで30周年の余波のように昨年暮れに思い出したようにリリースされた,ムーンライダーズ関連商品のひとつ。しかしこれも完全にマニア仕様なので,もはやリリースする側も「マニアの受難」を現実のものにするためにとにかく音源かき集めて商品化しているとしか思えない。冗談です。30周年時にリリースされた「MOONRIDERS CM WORKS 1977-2006」に続く,今度は鈴木慶一のソロ名義のCM音楽集。一部重複はあるもののマニアにはこたえられないパッケージです。53曲収録の大盤振る舞いだが,もちろんCM音楽なのでどれも時間は短い。80年代の仕事が多く収録されているが,その頃って個人的にTV見てなかった時期なのか,ほとんど知らないメロディばかり。その分,鈴木慶一のアイデア集みたいで楽しめるけど。特に楽しいのは「ありますか?」「ございます」の鈴木慶一と菊地真美(茶坊主の?)かけあいが楽しい81年の丸井「夏の創業50年祭」。丸井のCMということは田舎に生息していた身としては当然知る由もないと思うのだが。

「エアコン,ビデオありますか?」「各社いろいろございます」
「大きな冷蔵庫ありますか?」「はい,もちろんございま〜す」

こうしてCM音楽を作品として音だけ聴くと,そのバカバカしさが楽しくもいとしいものだなぁとしみじみ思います。

2008/01/09

TITLE:「 暗黒館の殺人 

暗黒館の殺人 1 (1) (講談社文庫 あ 52-15) 暗黒館の殺人 2 (2) (講談社文庫 あ 52-16) 暗黒館の殺人 3 (3) (講談社文庫 あ 52-17) 暗黒館の殺人 4 (4) (講談社文庫 あ 52-18)
通勤のバスの中などでちびちび読んでいたので永遠に読み終わらないかのような気もしていたがそんなことのあるはずもなく,この世の全てのことがそうであるように楽しい時間は終わりを迎えるのであった。う〜ん本気で楽しかったかどうかは微妙なところだが怪しげでおどろおどろしい綾辻ワールドはしっかり堪能させていただきました。ストーリーもキャラ設定も現実にはあり得ないこれぞ新本格なゴシック・ワールド。前半はちょっとやり過ぎじゃないのと思いながら読んでいたのだが,これはこういう世界なんだからと割り切ってしまえばいつの間にか世界に没入。決して映像化不可能ではないと思うが映像化しようという人もいないだろうなぁ。本書を購入する際にいちばん気になっていたのは辰巳四郎画伯亡き後,誰がカバー描いてるんだろうということだったりしたのだが,ご覧の通り喜国雅彦氏が辰巳氏のイメージを失わずかつオリジナルなという難しい要求に応えた,つまり丁寧な装画をされてます。巻末寄稿で京極夏彦氏がきちんとその件にふれているのがさすが,読者が何を知りたいか分かっている人だなぁという印象を強くした。

その他。何となく最相葉月「東京大学応援部物語」を読む。もはやこういう世界もファンタジーなんだろうと思います。相変わらず熱い梅田望夫「ウェブ時代をゆく」も読む。何より人一倍ナマケモノで面倒なことが嫌いな自分はウェブ時代を生き抜くのに不適応人種だという事実に愕然とする。遊佐未森のライブDVD「ササノハ オトノハ」を観る。未森姐さん,昔はボーイッシュで中性的なイメージだったのに,年取ってから妙に色っぽい感じになりましたね。好きですけど。エディ・ヴェダーの「INTO THE WILD」を聴く。スプリングスティーンかと思ったよ。ショーン・ペン監督作品のサントラということだが,あまりにも予定調和的にイメージ通り。パール・ジャム名義でこういうアルバム出したら面白いかも。

あっ,そう言えば忘れちゃいけないRadioheadの「In Rainbows」も聴いた。確かによりロック的なフォーマットに戻ってきたとも思うが,相変わらず小難しい。好きですけど。