そういえば「ロッキング・オン」を買わなくなったのはいつからだろうと感傷的な気分に浸りながら書店で本書を手に取りとりあえず購入する。もちろん永遠に続く習慣なんて恋愛と同じでそんなものあるはずがないのだが,当時はあんなに熱心に読んでいたのになぁと思うと何だか自分のことながら不思議である。本書はBeatlesの「
Please Please Me
」が出た1963年から2007年までの代表的なロック・アルバムのレビュー集なのだが,見事なまでに2000年以降のアルバムはRadiohead以外ほとんど知らないことに改めて愕然とする。こうしたガイド本を参考にロック・アルバムを聴くという行為そのものが実はロックからいちばん遠い行為であることは言うまでもないが,しかしかつては新潮文庫の渋谷陽一「
ロック―ベスト・アルバム・セレクション
」を参考に見知らぬアーティストのアルバムをYou&Iでレンタルしたりタワーレコードで買ったりしていた世代の一人としては,そう簡単に切り捨てられない本なのである。何より我々がロックを意識して聴き始めた頃にはすでにBeatlesはなく,そして既にロックはいっぱしのエスタブリッシュメントでありそこにはそれなりの歴史があり,それを無視して能天気に聴いて無邪気に語るわけにはいかなかったという事情もある。つまりロックはもはや学習するものだったのだ。そう考えればこれからロック評論家や映画評論家を目指す若い人は大変だなぁと思うのである。それでもロックについて語りたいという人のためにこの手の本はあるのかもしれないが,それならデータの充実をこそ心がけるべきで,ロッキング・オン的な情緒過多なレビューは面白いけど資料としてはどうかと思う。
ということでRolling stones「
Shine a Light
」,R.E.M.「
Accelerate
」,曽我部恵一バンド「
キラキラ!
」などを聴く。R.E.M.の若返りぶりがものすごい。「
New Adventures in Hi-Fi
」以降の円熟味を増したR.E.M.も実は嫌いじゃなかっただけにやや複雑。曽我部恵一のアルバムも初めはひどいタイトルだと思ったのだが,聴いてみると確かに「
キラキラ!
」としか形容しようのない若々しいアルバムだった。若い人にどれだけアピールするのか知らないが,若い人にこそ聴いて欲しいアルバムである。個人的ブームの飯嶋和一,「
雷電本紀
」を読む。いつの時代も静かな知性と美しい心根を持つ人ほど苦境に追いやられるのはなぜか。泣きながら読む。